教育活動

Academic Education

①音楽家への身体教育(講義,レッスン)と②科学教育(講義,研究指導)を行っております.

1.音楽家への身体教育

音楽家のための身体教育プログラムPEAC(Physical Education for Artist Curriculum)は,講義,個別のコーチング,テクノロジーを用いたサポートから成ります.

講義は,表現を生み出す身体の使い方・練習法を習得することと,ケガ・アガリを予防することの2つに主眼を置いています.記憶の仕組みに基づく暗譜の方法や,筋肉の無駄な力みを減らす身体の使い方や練習方法,アガリへの対策や,練習による故障とその予防法などを扱います.

個別のコーチングは,実際に楽器を用いた演奏によるレッスン形式で行います.身体の使い方や奏法,姿勢について指導し,演奏家個々人が抱える身体のトラブルを予防・解決したり,「このパッセージが弾けない」「この表現ができない」といった演奏上の問題を身体の観点から解決することを目指します.また,「身体を診るポイント」を教え,正しい動きを見る目を養うことで,身体教育を指導に取り入れる術を習得してもらいます.受講者やその生徒が,自分自身で問題を解決する方法を習得していただくこと,そして生涯に渡って健やかに演奏していただけることを目指しています.

テクノロジーを用いたサポートは,指の運動機能や感覚機能の評価などのスキル診断,運動機能や感覚機能を養う最先端トレーニングの提供,高精度センシング技術を用いた指導・練習支援から成ります.

これらPEACプログラムは,Sony CSLが主催のジュニアピアノアカデミーで提供している他,以下の大学や教育機関で提供しております.

【主な講義担当歴】

    (大学)

    (その他教育機関)

【個人レッスン・個別コーチング】


2.科学教育

【研究チームメンバー募集(RA,ポスドク研究員)】

リサーチアシスタント(RA),日本学術振興会(JSPS)特別研究員PD,短期インターンシップ生を募集しています.音楽家の脳や身体の仕組みについて研究がしたい方や,過剰な訓練によって起こる脳神経疾患に興味のある方は,メールでご連絡ください.統計とプログラミングの基礎とスキルは求められますが,実験に携わる方はその限りではありません. 

(※過去の参考資料 研究室配属を希望する人へ

【研究指導に関連する主な実績】

【講義に関する主な受賞歴】

【主な講義担当歴(科学系のみ)

<春学期>

<秋学期>

内容:音楽家の脳や身体の仕組み,働き,音楽を脳がどう処理・認識するか,など

音楽家の身体を動かす脳と身体の働きとは、どのようなものか?音楽家特有の故障問題とは?思い通りの音楽を健やかに奏でる方法やその背後にある脳と身体のメカニズムについて、自由度問題や内部モデルといった身体運動学の理論を交えながら、講義を行います。音大の学生には、実際の演奏や、将来の指導に役立つ知識を習得してもらうことを目指します。

第2回,第3回,第4回の国際ジストニア学会において,参加者に対して非侵襲脳刺激法(TMS, tDCS)についてのワークショップを行い,最新の知見や使用法,メカニズム,臨床応用について,講義・指導を行いました.

内容:神経科学の基礎について学んだ後、身体運動を制御する仕組みや、運動学習法則、感覚情報処理のメカニズムについて、講義と実習を通して理解を深めることを目指す。主に、以下のトピックを取り扱う。

*講義・・・日常動作および熟練動作の運動制御・運動学習、神経科学研究のリハビリテーションへの応用 etc

*実習・・・筋電図の測定、プリズム適応とアフターエフェクト、 視覚・触覚の錯覚(サイズ・ウェイト・イリュージョンetc)

内容:あらゆる人間の運動は、脳からの指令と感覚器官から得られた身体・外界の情報が複雑に協調しあって、創り出されている。望み通りの動作を行うために、 我々の脳はどのような計算処理を行っているのだろうか?また、学習が進むにつれて、 それらはどのように変化していくのだろうか?そこには、様々な美しい法則や仕組みが散りばめられている。本講義では「腕を伸ばして物を掴む、ボールを投げ る・打つ・キャッチする、ジャンプして着地する、楽器を演奏する・・・」といった実際の運動を例に挙げながら、人間が身体の運動をコントロールするメカニズムについて概説する。講義を通して、トレーナーとして必要な「人の動きを診る視点」を養ってもらうことを目指す。

キーワード:自由度、シナジー、トルク、剛性制御、内部モデル、フィードフォワード・フィードバック、可塑性、BMI

参考文献: 脳の計算理論(川人光男 著)、身体運動学(スパロー:著、松尾知之ら:訳)、身体知システム論(伊藤宏司:著)

内容:ヒトの身体運動を理解するための一つの方法として、身体運動を力学的に描写する方法がある。このような学問領域は「バイオメカニクス」と呼ばれており、スポーツにおけるパフォーマンスの向上や怪我の予防、日常生活のQOLの向上やリハビリテーション用器具の開発など、幅広い分野で役立っている。本講義では、バイオメカニクスの基礎となる力学について概説した後、どのような分野でどういった形でバイオメカニクスが有効か、実際の事例を示しながら解説する。(健康運動実践指導者の資格認定コース)

【委託学生指導歴】 上智大学 研究室配属学生14名を除く)